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長野県の共通遊漁券の導入を考える

長野県には共通遊漁券がないのだけども、ここのところ本サイトでは、過去記事の共通遊漁券に関する参照が多くあり、漁協の方なのか遊漁者さんなのか。少なくとも関心をお持ちの方が多くいらっしゃるので、お伝えできることを管理人なりに共有したいと思います。※県内でも一定数のお問い合わせを受けている状況とのことで、遊漁者さんも気になるところではあると思いますので。。。

※本記事は管理人個人の所感です。

共通遊漁券について長野県内はどんな状況か

結論から申し上げますと、長野県では”電子遊漁券”の導入推進に伴い、遊漁証の物理コスト削減基盤が出来つつあり、前向きに進んでいると考えますが、導入までには十分な検討期間が必要な状況であり、時間をかけて漁協さんが答えを導かれるのではないかと考えております。

なぜ共通遊漁券が導入されないのか

問題点をまとめると以下の点があるように思われます。簡単に書きますと、導入をしたときのメリットがあることが非常にわかりにくいので、その点を提示できることが必要になります。そして、それを提示が出来ないのであれば、具合の良いデータはどうせないのですから、、、予測と結果を踏まえて導入を行うための十分な検証プロセスを作ることが大切だと思います。PDCAを回していくことが必要だと感じるのです。

問題点(導入までのハードル)説明
導入メリットが提示できておらず、大義がない
提案できる人材や説得可能な分析材料がない
漁協さんは組織ですので、遊漁者のメリットは理解されているのですが、漁協さんへの運営メリットを示す必要があります。
漁協全体の合意を取ることが難しい
価格の決定が難しい
利益分配の決定が難しい
漁協数の多い長野県では県内漁協全体の合意が必要ですが、組織が多いので合意形成が難しくなります。また、設定した価格によって、各漁協さんが納得のいく分配方法を検討しなくてはなりません。

分析をしてみよう!!

1).山梨県さんの導入状況と遊漁者の声と分配適性を考える

山梨県漁連さんでは、共通遊漁券の販売状況についてアンケートを取られており、管理人は長野県でも導入ができないかを提案すべく、公開されたアンケート内容のすべてを確認してみました。結果として、需要は販売枚数を大きく超過している状況であり、漁協さんへの分配についても四苦八苦されている様子。。。※「県下共通遊漁承認証「全魚種(鮎等を除く)」について」は一読の価値ありです、、、

共通遊漁券漁協数販売方法料金制限需要
雑魚
(アユを除く)
17漁協
(湖:5漁協)
+1養殖漁協
店舗および漁連での販売
→郵送申し込みによる抽選
25,000円450枚350枚
+100枚の需要が1.8 倍(R5)

2).アンケートから読み取れることは?

管理人的には以下の様だと感じられます。なので、遊漁券販売枚数の制限はやはり遊漁者の不満を大きくしているようなので、長野県内で実施する場合はこの遊漁者の不満を解消しつつ、漁場への負担、漁協さんへの負担を軽減し、市場規模を測定するために販売価格を意図的に高くしたのちに適正価格を検討していくといった流れが必要と感じられます。どーんといっぺんにゴリゴリの理論を固めて、これが正しいんだーと決定することはいささか不満がたまるでしょうし、とてもリスキーなのだと思います。きっと遊漁者にとっても漁協さんにとってもよい結果にならないと感じるのです。また、山梨県さんの努力のたまものである検討を、さらに発展して遊漁者意見を反映させることが出来るおいしいポジションをとれるように感じられました。これは山梨県さんの漁連さん・漁協さんの努力のおかげですね。。

  • 販売枚数:販売枚数制限しないでほしいといった声多数。購入できない状況に不満
  • 価格:上記販売制限に伴いあげてもよいという意見多数、高いと感じている人も少数
  • 販売先:電子での購入可能な状態にしてほしいとの希望が強い
  • 対象範囲:河川・湖で別々にしてほしい。CR区間、区間分配がされる共通券があってもよい。
  • 漁場存続を希望することや抽選の不平等を感じる点などから共通遊漁券廃止の声
  • 県内外の声として、比較的県外の方は地元を優先してほしいとの声がある。
    地元の販売店さんも地元の方を大切にしたいとの考えがある。

アンケート結果を限りなく希望を満たせるように検討をしてみると。。

以下は管理人なりの提案や思うところは以下の通り。

  • 販売枚数の制限を行わない適切な価格設定を検討する必要がある。
  • CRを前提とした共通遊漁券販売はどうだろうか。
  • 金額は初回発行時にある程度高くして、市場規模の推定がしやすくなるのではないだろうか。
  • 湖面と河川を別々にした共通遊漁券はどうだろうか。また、エリアを分けることも検討してもよいのではないか。
  • 金額的配分の他に共通遊漁券利用者が対象漁場上で地元に漁協にお金を落とす仕組みの導入ができないだろうか。
  • そして。共通遊漁券の扱いは山梨県さんのように、運用方法を協議・検討何度も行うことが望ましい。ということ。

3).実現に向けて簡易的に分析を行い、市場規模を探る

実行までの必要性は、やはりお金がしっかり動くことを確認することから始めるべきだろう。。。
そんなわけで、簡単に以下の比較元から長野県の市場調査をしてみる。。結果としては、共通遊漁券は、2650万~4000万円/年のお金が動くもののようである。。

比較元(山梨県さんの情報)

都道府県漁協数販売価格売上高要求される発行枚数
実績予想
山梨県17漁協
(湖:5漁協)
25,000円11,250,000円
*450枚を積算
13,250,000円530枚
25,000円*350+25000*100*1.8

あたり前のことであるが、解析をおこなうにしても、データ自体が乏しいのである程度乱暴な計算にならざる得ない。そういう面でも検討材料の数値を蓄積していくことがとっても大事。だけど、なんとなくならいろんな人の知恵を借りて、予想する方法はあるにはあるものでして、、、強引にオープンデータや、論文から、山梨県・長野県の内水面遊漁者の想定人数から計算してみると、、

割合の算出データを3観点(遊漁者人口・漁業センサス・面積)から比較してみる

人口から算出される山梨県と長野県の遊漁者数は、固定割合4.46%と33.36%を利用すると、だいたい2.5倍(=30691/12138)程度の違いになる。

都道府県人口釣り人の割合左のうち
川・湖沼に限定
4.46%33.60%
山梨県809,974人36,125人12,138人
長野県2,048,011人91,341人30,691人
内水面の遊漁者人数割合(4.46%と33.6%)は、管理人がこちらのデータを参考に“レジャー白書”と合わせて独自に計算しております。計算不要な人数の特定ですが、、、いちを下の表の県の販売枚数と、組合員数の合算が比較できるように。。。また人口の出典は”総務省統計局「統計でみる市区町村のすがた2023」”を参考にしております。

漁業センサスの2018年度データから、遊漁者数を特定するのに遊漁券に関連する年間と期間券種+組合員数合計を算出すると、1.9倍(=55868/28892)程度の違いになる。また、面積比率を計算すると、3.1倍(=13104/4201)程度になる。

都道府県共通
遊漁券
の有無
券種組合員年間+期間+組合員面積
[㎢]
年間[枚]期間[枚]正+準計[人]
山梨県17,5713,3257,99628,8924,201㎢
長野県×24,4885,26726,11355,86813,104.㎢
面積データは→を参考:https://www.gsi.go.jp/common/000077733.pdf

なので、予想される共通遊漁券は単純な計算から長野県は山梨県に比べて、2~3(1.9~3.1)倍程度の市場が存在することが予想される。

更に強引に漁協数を分けて計算すると。。。長野県の漁協には、共通遊漁券導入後の影響を考慮しない場合は、雑魚だけで2650万~4000万円/年の市場が眠っている様子。なかなかによい金額が動くのではないだろうか。。。

都道府県漁協数市場規模予想
2倍想定3倍想定
長野県30漁協 *100%26,500,000円39,750,000円
25漁協(河川) *80%21,200,000円31,800,000円
5漁協(湖)*20%5,300,000円7,950,000円
山梨の13,250,000円から2倍と3倍の掛け算をしただけ、、

4).実現したらどんなことになるのか。

では、配布枚数と想定される金額は如何に。。。

想定される市場規模を遊漁券販売枚数を限定としない場合は以下のようになるので、実現すれば6から10万くらいで400枚を想定するとかになってしまうので(400枚は山梨県の450枚からてきとうにターゲティング)、県内においては対象範囲を分割する。もしくは、条件付きで割引をする。高いままでも購入者がいるかもなので販売するのが望ましいと思うんだよな。。。簡単に計算するだけでもそうなっちゃうんだもん、、、他県と比べて圧倒的に高いことは理解できるのですが、内在する価値を損なわないためにはこれくらいの値段にならざる得ない。。。どちらにしてもこういうことを長期的に検討するような話し合いの場を作らなければなりませんね。

では、共通遊漁券を漁協さんが検討する場合は、どんなプロセスがあるだろうか。

これは管理人の課題とさせてください。。。。。。

上記を見て数値で体感されるように実現までの課題がたくさんです。

今年度、管理人はできる範囲で検討するためのプロセスを提示ができたらなとは思ってはいるのですが、、どうなるかは正直わかりません。。

願わくは、長野県内では、制限枚数なく、電子による販売が実現しつつも、遊漁者の手の届く料金となるような。。そんなお手伝いができたらいいなと感じるのでした。

それでは、おやすみなさい。

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